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神戸地方裁判所 昭和43年(わ)308号 判決

本籍

神戸市灘区寺口町三二番地

住居

京都市左京区大原野上里北の町一二四八の四

会社役員

三宅正平

大正一四年一月三日生

所得税法違反被告事件

検察官

広田勇 出席

主文

被告人を懲役八月及び罰金五〇〇万円に処する。

被告人において右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、神戸市葺合区御幸通八丁目二五番地において、毎日会館の名称でパチンコ遊技場を経営するとともに、株式の配当、給与等によっても所得を得ているものであるが、所得税を免れようと企て

第一、昭和三九年一月一日から同年一二月三一日までの実際所得額は二九、七八九、七九六円で、これに対する所得税額は一四、四三九、二四〇円であったのにかかわらず、売上や仕入の日々の記録を破棄して記録せず、架空名義の預金を設定するなどして所得の一部を秘匿したうえ、昭和四〇年三月一二日所轄神戸税務署において、同署署長に対し、所得金額が七、一五八、五四八円で所得税額が一、六八九、一一〇円である旨の虚為の所得税確定申告書を提出し、もって正当所得税額と申告所得税額との差額一二、七五〇、一三〇円をほ脱し

第二、昭和四〇年一月一日から同年一二月三一日までの実際所得額は二八、三四五、八三二円で、これに対する所得税額は一四、〇一一、九七〇円であったのにかかわらず、前同様の不正な方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和四一年三月一五日所轄神戸税務署において、同署署長に対し、所得金額が七、一九八、四七五円で所得税額が二、一五四、三六〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって正当所得税額と申告所得税額との差額一一、八五七、六一〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実

一、被告人の当公判廷における供述

一、第一回、第一五回、第一九回公判調書中の被告人の各供述部分

一、被告人の検察官に対する各供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、被告人作成の昭和四一年九月二四日付、同月二六日付、同年一〇月二〇日付各確認書

一、証人内藤修治(第二八回、第三四回、第三五回)、同斉藤昭の当公判廷における各供述

一、第八回、第一〇回、第二一回公判調書中の証人内藤修治の各供述部分

一、第七回、第一八回公判調書中の証人菅生一男、同増井久員の各供述部分

一、増井久員、西川幸江作成の各確認書

一、高石清作成の確認書

一、大蔵事務官作成の各調査てん末書(銀行調査書類総勘定元帳)

一、大蔵事務官作成の昭和四三年三月五日付調査てん末書

一、大蔵事務官作成の昭和三九年分、同四〇年分の各脱税計算書説明資料(貸借の部、損益の部、別表の部を含む)

一、押収してある小型ノート四冊、銀行勘定簿一冊、玉場ノート二冊(昭和四三年押第三九四号の5.6.7)他に

判示第一事実につき

一、大蔵事務官作成の昭和四一年一〇月二一日付証明書(昭和三九年分のもの)

一、大蔵事務官作成の昭和四一年一一月一日付調査てん末書

一、押収してある昭和三九年度請求書、領収書綴一二綴、昭和三九年度六月分工事関係請求書、領収書綴一綴(前同号の13)

判示第二事実につき

一、大蔵事務官作成の昭和四一年一〇月二一日付証明書(昭和四〇年分のもの)

一、坂本かず江作成の昭和四一年九月二九日付確認書

一、押収してある昭和四〇年度請求書、領収書綴一二綴、昭和四〇年度工事関係請求書、領収書綴二綴(前同号の24)

(法令の適用)

判示第一事実 (旧)所得税法(昭和四〇年の改正前)六九条、同法附則三五条

判示第二事実 所得税法二三八条

(右いずれも懲役刑と罰金刑を併科)

併合罪 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文一〇条(判示第二の罪の刑に法定の加重)

罰金刑につき同法四八条二項

労役場留置につき 刑法一八条

懲役刑の執行猶予につき

刑法二五条一項

訴訟費用の負担につき

刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 高橋通延)

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